お菓子教室 Les Cadeaux Sinceres

History - お菓子の歴史

第2話 キャサリン・オブ・ブラガンザー(Catherine of Braganza) 1638~1705

2010年と2011年の6月、私なりに工夫をしてAfternoon tea partyを催し、皆様に楽しんで頂きました。
長年の夢がかなった出来事でした。
今回はこの「Afternoon tea」の由来を調べてみようと思います。
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イングランド宮廷に、お茶を楽しむ習慣を広めたのは、チャールズ2世の王妃、キャサリンだったと言われています。
彼女は1662年、23歳でポルトガルの王家(ブラガンザ家)から嫁いできました。
当時ポルトガルは、貿易先進国として繁栄。
世界中から珍しい品々が届き、 独特の宮廷文化が栄華を極めていました。
東洋から輸入された紅茶は大変な高級品でしたが、ポルトガルの王女だったキャサリンは毎日のように飲んでいたと言われています。 彼女のお茶の習慣は、イングランド宮廷においてもブームとなり、貴族や上流階級、そして次第にイギリス全土に普及していったのです。

結婚生活においては、子供に恵まれず、夫には14人もの愛人がおり、又、敬虔なカトリック信者であったため、プロテスタントのイギリスで孤立しがち・・・
と決して幸せなものではありませんでしたが、紅茶を優雅に飲む習慣をはじめ、イングランド宮廷に新しい文化をもたらした功績は大きかったのです。

その後、ヴィクトリア時代(1837~1901)に「Afternoon tea」が誕生します。
1840年のある日、第7代ベッドフォード公爵夫人アンナ・マリアは、空腹を満たそうと(当時のイギリス上流社会では、観劇や社交などの後、晩餐は20~21時頃から始まっていたようです)お茶と軽食を摂るようになります。
それが次第に、友人を招いてステキな食器でお茶を飲むようになり、午後の紅茶は貴族の社交の場で広まっていきました。

これが「Afternoon tea」の始まりと言われています。

又、大英帝国として最も輝いた時代を作ったヴィクトリア女王(Queen Victoria)1819~1901も、紅茶をこよなく愛した女王として忘れてはならない存在です。

そういえば、ノッティング・ヒルの市でシルバーのポットを購入しようとあれこれ迷っている時、売り手のおじさんがしきりと
「ヴィクトリアン!ヴィクトリアン!」
と連呼していたのを思い出しました。
ヴィクトリア時代、ベッドフォード公爵夫人によって始められた「Afternoon tea」は、当時のミドルクラスにまでしっかりと根付いていき、 現在、イギリスといえば「紅茶の国」というイメージですが、
それは、紅茶好きのポルトガル王女キャサリンが、イギリスにお興入れになったからこそ!
とも言えるのでしょうか・・・